うま味のふるさと探訪

盛田金しゃち酒造 清水さんと大崎さん 盛田金しゃち酒造 清水さんと大崎さん

地域で愛される酒蔵を継承した、
知多半島で一番新しい酒蔵

盛田金しゃち酒造半田

半田市の盛田金しゃち酒造へ

最盛期には200以上もあった知多半島の酒蔵も、今や6蔵を数えるのみになりました。

その中で最も新しい、砂浜への山車の曳きおろしが特徴的な「亀崎潮干祭」で知られる愛知県半田市亀崎にて、新たに酒造りに取り組む、盛田金しゃち酒造の大崎さんと杜氏(とうじ)の清水さんにお話を伺いました。

盛田金しゃち酒造の酒

盛田金しゃち酒造 外観

盛田金しゃち酒造について

江戸時代の後期となる1848年(嘉永元年)に創業された歴史ある蔵元の「天埜酒造」さんの事業を継承して設立されたのが「盛田金しゃち酒造」です。
天埜酒造の時代から地元を中心に愛されてきた「初夢桜」と、愛知県を代表する酒への願いが込めて「金鯱」の名前を冠した2銘柄を造っています。

盛田金しゃち酒造のお酒

亀崎では、銘酒「敷嶋」を造っていた伊東合資さんが、20年くらい前、2000年頃に休造されていて、天埜酒造が亀崎地区最後の酒蔵だったんですが、2010年に天埜さんが蔵を閉めることになった際、うちが新たにちょうど酒造りを始めようと場所を探していたところで、天埜酒造さんから、酒造免許を譲り受けることとなり、ご縁が繋がった感じですね。

大崎さん

酒造りの特徴・こだわりについて

金しゃち酒造は“米の旨みを感じるまろやかな舌ざわりを感じながらも、くどさのない透明感のある清酒”を追求しています。
米は、酒造りに向いた最高級の酒米「山田錦」を多くの商品、金鯱ブランドの純米酒、純米吟醸酒、大吟醸酒などに使用しています。

盛田金しゃち酒造 蔵内杜氏麹(こうじ)をもつ杜氏蒸米の画像

また、地元のお米を使っていきたいということで、純米酒については愛知県産の酒造好適米「夢吟香」を使っています。
この「夢吟香」の特徴としては「若水」(愛知県奨励の酒造好適品種)と「山田錦」の間、7割くらい「若水」寄りかなと思いますけど、「若水」よりも少し上品な酒になるというのと、精米時に“磨ける”ということ。精米度合いが上げられるので、吟醸酒や大吟醸酒造りに適しています。

水も土地のものにこだわって、知多半島の伏流水を使っています。
この伏流水が軟水なので、口当たりの柔らかな飲みやすい酒になります。亀崎は海の近くなのですが、伏流水が豊富で、ちゃんとどこを掘っても真水が出るんですよ。

原料の米を溶かしすぎないように仕上げ、主な発酵工程である醪(もろみ)を低温でじっくりと発酵させることによって、雑味のないきれいな酒質になるようにしていきます。

盛田金しゃち酒造 盛田金しゃち酒造

こちらの仕込み蔵は1800年代に建てられた建物になるのですが、大切に使い続けています。

甑(こしき=米を蒸す道具)や温度管理の部分などでは、現代的な設備も取り入れています。
小さな酒蔵で人員も充分とは言えませんが、米洗い、麹(こうじ)造りなど、酒造りにおいて品質に影響してくる要(かなめ)となってくる工程は今でもすべて人の手で行い、丁寧に手造りの酒を造っています。

盛田金しゃち酒造 蔵内

新たな酒蔵として

「金鯱」ブランドについては、現代的なラベルやパッケージデザインにしています。
インバウンドでの海外からのお客様をターゲットにしている面もあり、愛知県、名古屋にお見えになった際のお土産としても、県外・遠方のお客様に特にご好評いただいています。

金しゃちパッケージ

創業した際より“盛田”グループとしての流通網にのせて流通させていただいて、愛知のお酒として各地で販売しています。
「初夢桜(はつゆめざくら)」については、潮干祭とともに地域で昔から親しんでいただいた大切なお酒ですので、そのままの名前でブランドを残させていただいています。

また地元限定の取り組みということで、亀崎にある3軒の酒屋で潮干祭(山車)の柄のラベルのお酒を販売させていただいたりもしています。
ユネスコの無形文化遺産に亀崎潮干祭が「山・鉾・屋台行事」として指定されて以来、お祭りのお客さんは増えているのですが、最近はソフトドリンクが売れるようになって、ビールや日本酒はあまり売れなくなっているみたいです。
せっかくのお祭りなので、できれば皆さんにも日本酒をもっと楽しんでいただきたいですね。

知多半島の酒、”地の酒”としての特徴

このあたりの地域では濃いお酒が好まれるので、淡麗にせず、綺麗な味を残しつつ、この土地らしさ、地酒としてのバランスと取っていきたいと考えています。
知多半島に限らずですが、愛知県は八丁味噌や味噌カツなど赤味噌やたまりなどの味の濃い食べ物とあわせて美味しいお酒、甘くて旨味の強いお酒が比較的好まれる地域なのかなと。

日本酒も、10年前くらいまでは淡麗が好まれましたが、最近は酸味や甘さ、旨味のある濃いお酒も見直されている流れもあります。
低アルコールの日本酒やワインのような、フルーティで香りの良いお酒、甘酸っぱいお酒なども増えています。アルコールの出づらい酵母を生かしたり、そういった流れも踏まえながらつくっていきたいですね。
個人的に、ですけれど、新しい酒蔵なので、時代に合わせつつ、そうした柔軟さやフラットさはもっていきたいなと考えています。100年、200年と続いてきた酒蔵とは違うので、これからどうやって歴史を造っていくかですね。

盛田金しゃち酒造株式会社
〒475-0023 愛知県半田市亀崎町九丁目112(直売の売店も敷地内にあり)

盛田金しゃち酒造ホームページ/オンラインショップ
https://www.kinshachi.co.jp/